不妊・去勢手術
当院では、犬猫の不妊・去勢手術を実施しております。
女の子で実施する不妊手術は、基本的に当院では卵巣および子宮の摘出を行っております。
男の子で実施する去勢手術は精巣を摘出する手術です。
どちらの手術も基本的に約6ヶ月齢以降での実施を推奨しております。ただし、不妊手術の場合は、病気の予防の観点から初回発情前での実施を推奨しております。問題行動の抑制や病気の予防を目的とした手術の場合、発情や問題行動が起きてから実施をした場合では、期待する効果が十分に表れないことがあります。ご不安な方はお気軽にご相談ください。
主なメリット
女の子 | 男の子 |
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女の子
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男の子
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主なデメリット
- 全身麻酔による呼吸抑制や低血圧等、麻酔による基礎疾患の悪化
- 麻酔薬によるアレルギー反応の可能性
- 感染、出血、漿液腫などの術後合併症の可能性
- 術後の肥満、尿失禁(主に大型犬の女の子)
- 剃毛後の被毛の外観の変化、脱毛
- 縫合糸アレルギー
- 子宮断端肉芽腫、卵巣遺残症候群(副卵巣など)による再発情(女の子)
手術時期について
具体的な決まりはありません。しかし、性ホルモンによる行動を抑制するため(マーキングなど)であればその行動を起こしている期間が長いほど改善が認められなくなりますし、乳腺腫瘍の予防目的であれば初回発情前に実施することで、初回発情以降の手術をした場合とで乳腺腫瘍発生率に差が認められています。そのため、前述のような問題行動や病気の予防の目的のためでしたら、【生後6ヵ月頃】に手術されることを推奨しております。手術時期の違いによる副作用の発生には差がないとされています。
当院では体重が2kg以上(超小型犬を除く)、6ヵ月齢での不妊・去勢手術を行っております。
術前検査
麻酔リスクをなるべく正確に把握するため、術前の血液検査を全頭で実施しております。年齢や基礎疾患に応じて追加で画像検査等行う場合がございます。
手術の流れ
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Step1
手術のご予約
- ワクチンや健診でご来院された際など、直接看護師または受付にお申し出ください。若齢の場合、電話でのご予約も可能です。
- LINEによる手術予約はできません。
- 生殖器の疾患、中高齢での手術の場合は、事前に診察が必要となりますので、まず診察のご予約をお願いいたします。
- 生理中のわんちゃんの場合は、生理終了後に手術となります。猫ちゃんの場合は発情で中でも手術は可能ですが、子宮や血管が発達しているため、出血のリスクが高まります。妊娠している場合は事前にお申し出ください。別途料金が発生いたしますのでご了承ください。
- ご予約時に手術前注意事項をご説明させていただきます。
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Step2
前日の絶食
- 前日22:00以降は絶食となります。
- おやつもあげないでください。
- 胃内容物が残っていると、麻酔時に嘔吐するリスクが高まります。誤嚥性肺炎の発症リスク、死亡リスクが高まりますので、より安全な手術を行うためにもご協力ください。
- 万が一、食べてしまった場合は事前にお知らせください。量によっては手術日の変更や制吐剤の使用等でご対応させていただきます。
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Step3
当日朝の絶水
- 朝8:00から絶水となります。
- 術前から帰るまでは点滴を行います。ただし、性格や院内での状態等によって点滴方法は獣医師が判断をさせていただきます。
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Step4
8:30来院
- 8:30にご来院いただきましたら病院受付へお声がけください。その後、わんちゃん猫ちゃんそれぞれ待合室にてお待ちください。順番に獣医師がお呼びします。
- 初めての方はカルテの記入をお願いいたします。
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Step5
手術内容説明・お預かり
- 術前診察(問診)、手術内容説明を行っていきます。気になる点がある方はお申し出ください。
- マイクロチップの装着やウイルス検査(猫)のご希望も承っております。
- 術後洋服やエリザベスカラー等のご希望もうかがっております。術後の合併症発生率を低下させるためにも、術後の傷の保護についてご協力をお願いいたします。
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Step6
麻酔・手術同意書のご記入とご内金
- 待合室にて、改めて手術同意書をご一読いただきサインをお願いいたします。
- 緊急ご連絡先は必ず手術日1日連絡がつくものでご記入ください。
- 術前の血液検査等の検査結果に応じて手術実施のご相談をさせていただく場合がございます。
- 心肺蘇生処置に関してのご希望も必ずご記入ください。
- 同意書記入が終わりましたら、受付にご提出ください。その際、ご内金1万円をお預かりいたします。
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Step7
術前検査・血管確保・点滴
- 大切な患者様をお預かりした後、術前検査および血管確保を行い、点滴を行ってまいります。
- 検査結果によっては手術実施のご相談のお電話をさせていただきます。大きな問題がない場合は、ご連絡はせず、手術へと進みます。
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Step8
麻酔
- 当日の手術予定によって異なりますが、12:00前後から麻酔導入が始まります。
- 事前に、しっかりと酸素化をし、感染防止のための抗生剤や痛み止め、少し眠くなる鎮静剤を使用していきます。
- 呼吸経路の確保のために全頭挿管をいたします。
- 喉が敏感な子は、数日咳や声がれがみられることがあります。徐々に落ち着いてくることが多いため、よく様子をみてください。
- 麻酔時は異常をより早く察知できるようベッドサイドモニターを使用し、心電図や呼吸、SpO2、血圧など様々な項目をモニタリングしていきます。当院では高度な人工呼吸管理が可能な麻酔機器を使用しており、より安全な麻酔ができるよう配慮しております。
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Step9
手術
- 「手術や麻酔時間を短くし、体の負担を減らす」「出血リスクを下げる」「縫合糸アレルギーや子宮断端腫の発生リスクを下げる」等の目的のため、様々な電気メスや血管シーリングシステム等特殊な機器を用いて迅速に手術を行ってまいります。
- 縫合糸に関してはゼロにはなりませんのでご理解ください。
- 使用するすべての手術器具は1頭1頭しっかりと滅菌したものを使用し、モニター等に関しましても都度毎回消毒をしっかり行い、院内感染防止対策に努めております。
- 手術がおわりましたら、麻酔から覚めるまでモニタリングを継続しながら様子をみます。患者様の意識がしっかりしましたら入院室に移動し、点滴を継続します。
- <手術内容>
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- 男の子の場合、左右精巣を切除していきます。わんちゃんなら陰茎の下方、猫ちゃんなら陰嚢にお傷ができます。おなかや内股に精巣がある場合は、場所や個数によって傷の場所が分かれます。
- 女の子の場合、左右卵巣と子宮体~頸部で切除していきます。おなかに傷ができます。
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Step10
お迎え(午後診察時間内)
- お迎え時間になりましたら、お迎え・お会計となります。
- 術前検査結果や手術後の過ごし方についてご説明させていただきます。
- 患者様は慣れない環境、麻酔・手術でかなり疲れています。安心できるおうちで静かに過ごさせてあげてください。
- 出血が多い等の場合によっては、ご相談の上1泊になることもあります。
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Step11
ご自宅での静養
- 手術翌日より抗生剤や痛み止めの投薬が始まります。
- 術後洋服やエリザベスカラー等でお傷の保護をお願いいたします。
- 生活は普段通りで大丈夫ですが、傷は清潔に保ち、シャンプー等はお控えください。
- 術後合併症につきましては当院でご対応させていただきますので、気になる点がございましたらご連絡ください。
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Step12
抜糸
- 抜糸(手術から1週間後)2、3日後よりシャンプー等も可能となります。
- 術後は太りやすくなりますので、カロリーコントロールをしてあげてください。
手術をお考えのご家族の皆様へ
不妊・去勢手術は健康なわが子に麻酔をかけ、手術を行うというところに大きな抵抗感を感じることがあると思います。それと同時に、病気や問題行動を防ぎ、生活の質が高まるなどのメリットが言われていることも事実です。どちらがよいかはご家族によって考え方は様々であり、正解はありません。お迎えした子とのこれからの生活を考え、どちらの方がよいかをご家族全員で話し合いご納得された上で手術を行うことが大切です。どちらの選択にしましても、当院ではご家族様の考えを尊重し、患者様も含めた皆様の「幸せをサポート」したいと考えております。ご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
補助金
ぬくもり動物医療センター周辺の自治体(香取市・神栖市・東庄町・旭市)では、犬猫の避妊去勢手術に対して補助金がありますので一度ご確認ください。